当院泌尿器科との合同カンファレンスにて、当部の上小倉先生、林先生が症例提示を行いました。

当院泌尿器科との合同カンファレンスにて、当部の上小倉先生、林先生が症例提示を行いました。

今回取り上げられた症例の中に、癌の発生場所や広がり方が問題になった症例がありました。

女性の方はピンとこないかもしれませんが、男性には尿を溜める膀胱という臓器、そしてそのすぐ下に前立腺という臓器が存在します。

キッチングッズにもある、瓶などに液体を注ぐ時に便利な「漏斗」という道具がありますが、その三角形の部分を「膀胱」、細い管の部分を尿の通り道の「尿道」だと思って下さい。

「前立腺」は、その漏斗の三角形から細い管の変わり目の部分を、ドーナツのように密着して取り巻いている臓器です。

その辺りにできた癌が問題となったのですが、何が問題なのかというと、

 

①漏斗の三角形の部分の内側に最初にできた癌が、ドーナツが取り巻いている管のところまで這うように広がって、そのドーナツの部分の癌が深くまで進んで管の外側にあるドーナツ本体まで入り込んだ場合

②ドーナツが取り巻いている管の内側に最初にできた癌が、そのまま深くまで進んで、管の外側にあるドーナツ本体まで入り込んだ場合

③漏斗の三角形の部分の内側に最初にできた癌が、その場で深くまで進んで、三角形の部分の外側と接しているドーナツの部分に直接入り込んだ場合

 

以上3つの場合を考慮しなければならず、しかもそれぞれの場合で癌の評価のしかたが変わってしまうので、非常にややこしい症例だったのです。

癌の取り扱い規約でも詳細な注釈が載っているほどにややこしいのです。

私自身、この文章を書いていてとても分かり辛いと実感していますが、基本的に病理診断レポートは文字だけで結果を伝えなくてはいけません。

生成AIによって何でも仕事の効率化が流行っていますが、AIは頭が良過ぎて、「ある物事を分からない人間が、何故それが分からないのか」を理解することが苦手です。

結果的に人々のコミュニケーションが言葉に依存している内は、まだまだ「分からないが分かる」人間の需要はなくならないのではないかと期待しています。

 

なんか、分かり辛いですね。

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