お知らせ

当部臨床検査技師の宮川さんの壮行会と忘年会が開催されました。

当部臨床検査技師の宮川さんの壮行会と忘年会が開催されました。

宮川さんは約7年もの間、当部を支え続けて下さりましたが、この度新たなチャレンジのために当部とお別れすることになりました。

これまでの御尽力への感謝、そしてこれからの激励の意を込めて、盛大にお祝いさせていただきました。

私も、えんもゆかりもない病理学という分野を学び始めた頃から、当部のえんの下の力持ちである宮川さんにはよすがとして御意見を求めることも多く、その時のことが今も目のふちの裏に浮かび、短い間ながら築いたえにしを感じます。

退職されてからも、当部とは関わりを持ち続けてくれるとのことで、これからもお力をお借りすることがあると思います。

我々一同、宮川さんのこれからを、心より応援させていただきます。

 

新しい境地でも、素敵な御縁が紡がれますように。

当部の谷野先生と上小倉先生が当院の2024年度第3回MDDで症例提示をしました。

当部の谷野先生と上小倉先生が当院の2024年度第3回MDDで症例提示をしました。

MDDとはMulti-Disciplinary Discussionの略で、呼吸器専門医、放射線科医、病理医の3者で合議をする、「日本呼吸器学会 びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン」で推奨されている診断法で、当院では定期的に開催されています。

病理診断における間質性肺炎は、実は非常に難解です。

感染症やアスベスト肺、血管炎など幅広い「肺癌以外の肺の病気」について集約された比較的新しいある参考書では、全437ページ中104ページ、つまり1/4が間質性肺炎について記載されています。

そんなにもページ数を割かなくてはならないほど、間質性肺炎は診断に必要な情報量が多く、まだまだ謎の多い病気なのです。

だからこそ、臨床科、放射線科と各分野の見解を持ち寄って検討をする必要があるのです。

このように、我々医療人は、互いに尊敬し合い、協力して診療に臨みます。

一人で手術はできないし、一人でCTは撮れないし、一人で病理診断はできません。

自信を持ち過ぎず、謙遜の心を常に忘れないようにしなければなりません。

私も人生の1/4は過ぎましたが、そんなにも歳月を割いても尚、医師として、人として、まだまだ至らぬ所の多い未熟者なのです。

当院キャンサーボードにて、当部の林先生が症例提示を行いました。

当院キャンサーボードにて、当部の林先生が症例提示を行いました。

キャンサーボードとは、旭川医科大学病院での悪性腫瘍:がんの症例に対して、各科の医師が集まって意見を出し合う大型カンファレンスのことで、当院では定期的に開催されております。

当部の林先生は、皮膚への転移で見つかった、尿の通り道である「尿路」にできた癌で、その中でも珍しい性質を持つ症例を診断し、その解説をしました。

カンファレンスの最中、主治医の泌尿器科の先生は、「UC」という言葉を発しました。

「Urothelial Carcinoma」、日本語で「尿路上皮癌」の略称です。

しかし、消化器内科の先生が「UC」と聞くと「Ulcerative Colitis」、つまり「潰瘍性大腸炎」を想像します。

はたまた産婦人科の先生なら「Uterine Contraction」の「子宮収縮」か、「Umbilical Cord」の「へその緒」を思い浮かべるかもしれません。

日本の医療界でも英語の略語はよく使われますが、自分の科以外では通じ辛いものもあることは気を付けなくてはいけません。

我々病理医は様々な科の先生とコミュニケーションをとる必要があるので、専門用語には尚更慎重にならなくてはならないのです。

実習中の医学生さんが「既往にUCがあり…」なんて言っているのを聞くと、本当に英語の意味を分かっているのかな?なんて思っちゃいます。

 

『 What’s “UC”, you understand, ……you see? 』

当院婦人科との合同カンファレンスにて、当部の谷野先生、湯澤先生、上小倉先生が症例提示を行いました。

当院婦人科との合同カンファレンスにて、当部の谷野先生、湯澤先生、上小倉先生が症例提示を行いました。

今回取り上げられた症例の中に、全部で105個も病理組織標本を作製して診断した症例がありました。

実は女性器である卵巣は、場合によっては手術で取り出した卵巣の、一番長い部分の長さの2倍の数の標本を作製して診断しなくてはならない、と正式に取り扱い規約で定められています。

最大の長さが10 cmなら、10 × 2で20個、という感じです。

意外かもしれませんが、お腹の中にある卵巣は、病気によっては30 cmを超える大きさになることも実際にあります。

今回の症例の卵巣の大きさは30 cm台だったものの、その病気の由来を確定するために、結果的に卵巣だけで83個、一緒に摘出した子宮なども併せて全部で105個の標本を作製して診断しました。

ちなみに人間の一般的な癌細胞の大きさはおおよそ20 μmほどと言われており、1 mmの2/100の大きさです。

そして、標本にできる組織の最大サイズはだいたい3 x 2.5 cm大で、μmに合わせると、30000 x 25000 μm、それが× 105個です。

かなり極端な例えですが、時には78750000000 μm²の中から20 μmの癌を見つけなくてはならないこともあるのです。

ですが我々病理医、引いては医療従事者は一般的に、そのように頑張って診療に取り組む自分達をやたらと顕示したりはしません。

我々の患者さんへの日々の想いが種となり、日本の医療の育成に繋がって、未来の人々の幸せが実ってくれれば、これ以上ない大収穫です。

当院泌尿器科との合同カンファレンスにて、当部の上小倉先生、林先生が症例提示を行いました。

当院泌尿器科との合同カンファレンスにて、当部の上小倉先生、林先生が症例提示を行いました。

今回取り上げられた症例の中に、どれほど癌が深くまで進んでいるかが問題になった症例がありました。

癌が臓器の奥深くまで進んでいると、それだけ周りの癌がないところにも、癌が進んでいく可能性が高くなり、再発の危険性が高まります。

血管やリンパ管といった全身の臓器に繋がっているところに癌が入り込んでいたら、尚更気を付けなくてはなりません。

癌がどこにあるのか、全身を一気に調べられれば良いのですが、数ミリ単位の大きさのものは、さすがにCTやPET検査でも正確には分かりません。

なので、癌がありそうな臓器を実際に手術で取り出し標本にして、顕微鏡越しに細かく探していくのが現状最も確実な方法です。

AIによる病理組織診断の研究も進んでいますが、AIは自分で臓器を切り開いて標本にすることはできないので、結局我々人間の病理医が自分の目で見て、癌の情報が得られそうな箇所を選んで標本を作っていく必要があります。

こればかりは、蓄積された経験や知識、感覚、X線のように瞬時に物事を見通せる力が物を言う領域で、AIに学習させて自分の実力をマスクすることはできません。

医療は、SNSほど甘くないことに、異論はありません。

【募集は締め切りました】当部では臨床検査技師(常勤職員に準じたフルタイム非常勤職員)を募集致しております。

【募集は締め切りました】

当部では臨床検査技師(常勤職員に準じたフルタイム非常勤職員)を募集致しております。

①臨床検査技師免許所有者、または②令和7年4月に臨床検査技師免許取得見込の方が対象です。

詳細な要項は、下記URLリンク先の旭川医科大学病院ホームページの採用情報のページに掲載致しております。

応募締め切りは12月6日ですので、御確認いただけたら嬉しいです。

あなたと一緒にお仕事ができることを、スタッフ一同、こころからお待ち致しております。

 

当部の技師さんは腕前が高く、我々病理医の自慢であります。

あなたが当部の一員になってくれたことを自慢できる日、

そしてあなたが当部の一員になれたことを自慢したくなる日、

そんな日の訪れを待ち遠しく思います。

国立大学法人旭川医科大学:臨床検査技師採用情報 (asahikawa-med.ac.jp)

「第47回北海道脳腫瘍病理検討会」にて、当部の上小倉先生が症例提示を行いました。

「第47回北海道脳腫瘍病理検討会」にて、当部の上小倉先生が症例提示を行いました。

「北海道脳腫瘍病理検討会」とは、北海道内の病院で診療された脳腫瘍の症例について、臨床医と病理医がそれぞれの観点から発表をするオンラインでの検討会です。

当部の上小倉先生は、非常に難渋した、当院の脳腫瘍の症例の病理診断について発表しました。

脳腫瘍の病理はとても難しく、医療機関によっては、脳腫瘍病理診断は外部機関に委託しているところもあります。

当部では、当院の脳神経外科と連携して積極的に脳病理を診断しています。

どの病理部にもそれぞれの「強み」というものがありますが、脳腫瘍を診る機会が多いのが当部の強みの一つです。

「弱み」を挙げるとしたら、ちょっと人手が足りなくなりがちなところかもしれません。

もしあなたが「病理に興味がある」という強い気持ちを持って我々の元に訪れてくれたら、あなたの存在が、我々の「強み」になります。

当部の谷野先生が韓国・ソウルで開催された「76th Annual Fall Meeting of the Korean Society of Pathologists/The 1st International Congress of KSP/8th Asia-Australasia Pulmonary Pathology Society Annual conference」で講演を行いました。

当部の谷野先生が韓国・ソウルで開催された「76th Annual Fall Meeting of the Korean Society of Pathologists/The 1st International Congress of KSP/8th Asia-Australasia Pulmonary Pathology Society Annual conference」で「Transbronchial lung cryobiopsy and Multidisciplinary discussion for diagnosis of Interstitial lung diseases」の講演を行いました。

韓国、台湾、中国、インド、マレーシア、シンガポールなど世界各国から参加した病理医と情報交換し、とても有意義な国際学会となりました。

会場がせまいと感じるほどたくさんの人が集い、おなじ学問を志す者同士で果敢に意見を交わし合うも、最後はまるい感じで納まりました。

我々医療人は、生きる国は違えど、目指す未来はただひとつです。

みんなそれぞれたすけあって、この小さな世界を守りたいのです。

当部の谷野先生が共著したcase reportの「Treatment of lung adenocarcinoma with chemotherapy helps mitigate chronic myeloid leukaemia progression: A case report」がOncology letters (IF 2.5) にアクセプトされました。

当部の谷野先生が共著したcase reportの「Treatment of lung adenocarcinoma with chemotherapy helps mitigate chronic myeloid leukaemia progression: A case report」がOncology letters (IF 2.5) にアクセプトされました。

タイトルをとてもざっくりと和訳すると「肺癌の抗がん剤治療が白血病にも効いた1例」です。

白血病という病気は実質「血液の癌」です。

液体である「血液の癌」と言われてもピンとこないと思いますので、「血液を作り出す臓器の癌」と考えて下さい。

血液中に、正常ではない細胞が正常ではない勢いで増えていき身体機能を正常でなくする点は、他の臓器の癌と一緒です。

このように、学んだことのない方々には、聞いてもイメージし辛い医学用語はたくさんあります。

なので医師には、患者さんが理解できるように病気について分かり易く説明する義務があります。

医療の主役は医師ではなく、患者さんです。

主役が、自分の歩む道について満足のいく選択ができるように精一杯サポートするのが、脇役である医師の腕の見せ所です。

直接患者さんとお会いしないので影が薄いですが、我々病理医こそ、「癌治療」の名バイプレイヤーと覚えてくれたら嬉しいです。