お知らせ

当院消化器病理カンファレンスにて、当部の谷野先生が症例提示を行いました。

当院消化器病理カンファレンスにて、当部の谷野先生が症例提示を行いました。

消化器内科、消化器外科、病理診断科の3科合同で過去の症例について議論する場です。

今回取り上げられたのは膵臓にできた腫瘍の症例でした。

膵臓は手術が非常に難しい臓器で、その周囲には肝臓、胆嚢、脾臓、胃、十二指腸、小腸、血管など様々な臓器が密集して存在しているため、それぞれの位置関係を正確に把握しなければなりません。

視野は狭く、その上、出血などで視界が悪くなることもあるので、高い空間把握能力が求められます。

病理も標本上の平面世界だけをみていると思われがちですが、平面世界を連続的に繋げて、立体的に病気を捉えなくてはいけません。

外科医の先生の中には、その空間把握能力の高さから絵がお上手な先生がいらっしゃると聞いたことがありますが、もしかしたら私にも空間把握能力があって、意外と上手な絵を描けて、実は患者さんのお役に立てる才能を秘めている可能性があるのかもしれません。

 

昔から、お餅の絵を描くのは、得意でしたが。

「Lung Cancer Pathology Expert Web Seminar 2025」にて、当部の谷野先生、秋山技師長が座長を務め、湯澤先生が講演を行いました。

「Lung Cancer Pathology Expert Web Seminar 2025」にて、当部の谷野先生、秋山技師長が座長を務め、湯澤先生が講演を行いました。

タイトル通り肺癌の病理学的なウェブセミナーで、細胞検査士の立場から、医師だけでなく病理検査技師が発表することもあるセミナーです。

この度、秋山技師長は座長の立場で招かれ、司会の方から「秋山先生」と呼ばれていました。

基本的に「先生」は医師や教師、政治家などに付けられがちな敬称ですが、当部の技師さん達を牽引し、後進の育成にも熱心に取り組む秋山さんも先生と呼ばれて然るべきだと私は思います。

先を生きてきた者として、後に続く人たちの才能の芽を、これからも生やしていってほしいと思います。

【重要・2025年3月21日更新】 当院における病理標本のSOP(標準作業手順書)の改訂に伴い、未染標本作製依頼書の新しい様式を当ホームページ上にアップロード致しました。

【2025年3月21日更新】

当院における病理標本のSOP(標準作業手順書)の改訂に伴い、未染標本作製依頼書の新しい様式を当ホームページ上にアップロード致しました。

御依頼の際は、本日よりこちらを御利用いただきたく存じます。

書類作成前に、臨床用1のExcelファイルはver17、臨床用2はver5、研究用はver5であることを御確認下さい。

下記当ホームページ内URLのリンク先のページからダウンロードをお願い致します。

未染標本作製依頼 – 旭川医科大学病院 病理部 【公式】 (asahikawa-patho.net)

当院婦人科との合同カンファレンスにて、当部の谷野先生、青木先生、林先生が症例提示を行いました。

当院婦人科との合同カンファレンスにて、当部の谷野先生、青木先生、林先生が症例提示を行いました。

今回取り上げられた症例の中に、10年以上前に手術で取り除かれていたと思っていた乳癌が卵巣に転移していたというものがありました。

卵巣にできた癌は全てが一応「卵巣癌」という大きなくくりに入るのですが、今回のように乳癌が転移したものは、その中の「転移性卵巣癌」という小さなくくりに分類されます。

これがとても重要で、何故かというと、卵巣がオリジナルの発生母地である「原発性卵巣癌」と、他の臓器から発生した「転移性卵巣癌」は治療法が大きく異なる場合があるからです。

手術で取り除いてしまうのが治療の第一選択であるものや、化学療法が第一選択であるものなど、癌の治療法は多岐に渡りますが、基本的に転移してきた癌は、元々の発生した臓器の癌の治療法が適応されるのです。

この度のように10年以上も前に根治したと思っていた癌の再発・転移はかなり珍しく、診断だけでなく、今後の方針も含めて一筋縄ではいかない症例でした。

 

癌の患者さんは、治療前も、治療中も、治療後も、癌の恐怖に悩まされています。

そして、癌と戦うには、お金が、医療費がとってもかかります。

そんな不安に駆られる患者さんから財源を確保しようとする考えがあることが、

私はいち医療者として、

本当に悲しく、悔しく思います。

「第48回北海道脳腫瘍病理検討会」にて、当部の林先生が症例提示を行いました。

「第48回北海道脳腫瘍病理検討会」にて、当部の林先生が症例提示を行いました。

「北海道脳腫瘍病理検討会」とは、北海道内の病院で診療された脳腫瘍の症例について、臨床医と病理医がそれぞれの観点から発表をするオンラインでの検討会です。

今回の検討会では、脳外科医志望の初期研修医の先生も症例を発表されていました。

脳の外科手術は非常に繊細な技術と、長時間維持できる高い集中力、あらゆる事態にすぐに対応できる瞬発力など、かなり広い能力が求められますが、何より「情熱」が一番肝心と聞きます。

画面越しでしたが、未来と熱意のある、お若いのに立派な先生だと私は思いました。

 

病理医もかなり広い能力が求められますが、何より「見る目」が一番肝心なのです。

当院キャンサーボードにて、当部の林先生が症例提示を行いました。

当院キャンサーボードにて、当部の林先生が症例提示を行いました。

キャンサーボードとは、旭川医科大学病院での悪性腫瘍:がんの症例に対して、各科の医師が集まって意見を出し合う大型カンファレンスのことで、当院では定期的に開催されております。

林先生は、小腸にできた癌の症例の解説をしました。

小腸の癌は、発見が遅れることの多い病気です。

と言うのも、小腸には胃カメラも大腸カメラも届かず、実際に目に見て癌を探すことが困難だからです。

実は人間の食べ物の通り道である消化管は、喉にある食道からお尻の直腸まで、全長9 m程度あると言われています。

小腸はちょうどその真ん中辺りにあるのですが小腸だけで5〜6 mあると言われています。

流石にそこまで長いカメラを人体に挿入するのは、口からも、お尻からも難しいのです。

また、同じ消化管でも、食道、胃、小腸、大腸はそれぞれ粘膜の構造が異なっていて、胃癌や大腸癌と同じ治療では小腸癌には効かないこともあり、それぞれの場所で別々の考え方で病気を診療しなければならないのです。

一般的にも耳にする「胃腸」という言葉がありますが、私としては胃と腸は簡単に引っくるめられるものではないと思っています。

国民的アニメ「ちびまる子ちゃん」に山根くんという、よくみぞおちの辺りを抑えて「うっ…胃腸の調子が…」と言っているとても繊細なキャラクターがいるのですが、実は彼はかなり大胆な表現をしているのです。

当部の山下臨床検査技師が臨床病理検査技師制度 第10回認定試験 (2024年度) に合格しました。

当部の山下臨床検査技師が臨床病理検査技師制度 第10回認定試験 (2024年度) に合格しました。

これにより、山下技師は認定臨床病理検査技師の資格を手に入れました。

「認定臨床病理検査技師」とは、病理検査のエキスパートとして、豊富な知識を持ち、適切な病理標本を作製できる技師にのみ与えられる資格です。

この資格を有する技師が所属していると、病理診断施設としての品質が客観的に高く評価されるのです。

山下技師は、現在当部所属技師において、秋山技師長に続いて二人目の認定臨床病理検査技師となりました。

山下技師の頑張りが、当部のポテンシャルを更に高めて下さりました。

今後は認定者として、のしかかる重圧が増えることもあるかもしれません。

ですが、我々スタッフ一同は既に、山下さんを支える資格を有しているので、是非とも精一杯サポートすることを認定していただけたら嬉しいです。

改めて、山下さん、本当におめでとうございます。

令和6年度 第4回教育型CPCが当院で開催されました。

令和6年度 第4回教育型CPCが当院で開催されました。

CPCとは、亡くなった患者さんの死因を明らかにするために臨床医と病理医がそれぞれの観点から考察を行い、議論するカンファレンスのことです。

この度は初期研修医の皆さんが発表を行う教育型CPCで、当部ではなく、免疫病理学講座の長門先生が、病理医側の発表を行う研修医さん達のサポートをしました。

今回のCPCで取り扱われた症例は、患者さんがもともと持っていた糖尿病、高血圧、脂質異常症などの、俗にいう生活習慣病が、本体の病気の存在を隠して発見が遅れてしまったものでした。

どういうことかと言うと、例えるならば、もともと糖尿病と診断されている人が、新しくかかったある病気のせいで血糖が異常に高くなっても糖尿病のせいと考えられてしまい、詳しく原因を調べられなかった、みたいな感じです。

生活習慣病は、それ自体が命を奪うことも、更に他の病気を間接的に引き起こしてしまうことも、今回のように他の病気の存在を隠してしまうこともある、とても恐ろしい病気なのですが、一番怖いのが、医療に関心がない人にはその恐ろしさが全く伝わらないことだと思います。

今回の症例は結果的に珍しいタイプの癌が本体だったので、研修医の先生方の勉強になると判断されて用意させていただきました。

勿論、珍しい病気の診療ができるのも医師としての実力ですが、ありふれた病気をかかえるたくさんの患者さん達を適切に治療して、適切に経過を見ることができるのも医師として必要な実力です。

そういう意味では、人口密集国である日本の医療は、ありふれた病気の患者さんを、一人で何百人も診ている開業医の先生方で支えられているといっても過言じゃないと思います。

研修医の皆さんにはこの度の症例を通して、一般的な病気の日常診療の大切さも学び、この経験をこれからの日本の医療に活かしていただけたらと思います。