お知らせ

【重要・2024年6月27日更新】当院の未染標本作製依頼書が改訂されました。

【2024年6月27日更新】

当院における病理標本のSOP(標準作業手順書)の改訂に伴い、未染標本作製依頼書の新しい様式を当ホームページ上にアップロード致しました。

御依頼の際は、本日よりこちらを御利用いただきたく存じます。

書類作成前に、臨床用1のExcelファイルはver15、臨床用2はver5であることを御確認下さい。

下記当ホームページ内URLのリンク先のページからダウンロードをお願い致します。

未染標本作製依頼 – 旭川医科大学病院 病理部 【公式】 (asahikawa-patho.net)

令和6年度 第2回従来型CPCが当院で開催され、当部在籍病理医の市村先生が症例発表をしました。

令和6年度 第2回従来型CPCが当院で開催され、当部在籍病理医の市村先生が症例発表をしました。

CPCとは、亡くなった患者さんの死因を明らかにするために臨床医と病理医がそれぞれの観点から考察を行い、議論するカンファレンスのことです。

この度は臨床の先生と病理医を中心に開催される従来型CPCでした。

今回取り上げられた症例の一つに、慢性心不全の増悪で亡くなられた患者さんがいらっしゃいました。

実は、心不全を死因として死亡診断書に医師が記載する際には注意が必要です。

本当に心不全が直接的な原因か診断できない場合に、漫然と心不全を死因として記載してはならないと国際的に決められているからです。

「心不全」は「心臓が機能を全うできない」状態を広く指す言葉であり、疾患の名前そのものではないのです。

このように医学用語は、その意味を正確に把握して使用する必要があります。

病理医は、病理組織の視覚的情報を医学的に言語化することを求められるので、言葉の定義に敏感でなくてはなりません。

故人を懐い待つ御家族の思い思いの想いに応える念いを胸に死の診断をする、責任の重い仕事だと私はおもいます。

当部の谷野先生が「脳腫瘍」のセッションを分担執筆した「術中迅速病理診断スタンダード」が発刊されました。

当部の谷野先生が「脳腫瘍」のセッションを分担執筆した『術中迅速病理診断スタンダード』が発刊されました。

非常に重要な分野ながら、今まで要点がまとめられた正書は少なかった術中迅速病理診断の、新たな指針となる1冊です。

検体の取り扱いから標本作製、診断まで網羅されており、各病理診断施設に必携の内容です。

迅速病理標本は施設ごとの技術の差が出易いと言われており、正確な診断には病理医だけでなく標本を作製する検査技師の高い能力も不可欠です。

当部の迅速病理標本はとてもクオリティが高いと定評があり、我々病理医は技師さんの力にいつも助けられております。

共に医療をする仲間を誇らしく思えることを、私は誇りに思います。

※掲載画像は『術中迅速病理診断スタンダード』の表紙写真です。

第5回日本石綿・中皮腫学会学術集会が岡山県で開催され、札幌厚生病院初期研修中の秋田谷先生が演題発表を行い、谷野先生が座長を務めました。

第5回日本石綿・中皮腫学会学術集会が岡山県で開催され、札幌厚生病院初期研修中の秋田谷先生が演題発表を行い、谷野先生が座長を務めました。

秋田谷先生は当大学出身で、「腹膜中皮腫における核グレードおよび組織学的グレードの有用性の多施設的検討」という演題で発表をしました。

「石綿」とは「アスベスト」の和名で、こちらの方が聞き覚えのある方が多いと思います。

約20年前に日本でも大問題になった、呼吸器障害を引き起こす建築材のことです。

2000年代前半は他にもSARSや鳥インフルエンザなど呼吸器疾患に関連する病気が度々取り沙汰され、流行語大賞にもノミネートされました。

アスベストが話題になった当時はまだ小学校に入学前だった秋田谷先生が、こうして医師として学会でアスベストに関する発表をする事実に、流れ行く時を感じます。

令和6年度 第2回教育型CPCが当院で開催され、当部の林先生が症例発表の指導医として参加しました。

令和6年度 第2回教育型CPCが当院で開催され、当部の林先生が症例発表の指導医として参加しました。

CPCとは、亡くなった患者さんの死因を明らかにするために臨床医と病理医がそれぞれの観点から考察を行い、議論するカンファレンスのことです。

この度は初期研修医の皆さんが発表を行う教育型CPCで、林先生は病理医側の発表を行う研修医さん達のサポートをしました。

今回のCPCは、胃にできた腫瘍が全身の臓器に転移して、多臓器不全を起こして亡くなった患者さんの症例でした。

多臓器転移・多臓器不全ということもあって、全身の臓器の病理組織を診なくてはならず、研修医の皆さんは見慣れない顕微鏡越しの世界に苦労したことと思います。

本当にお疲れ様でした。

何週間も前から頑張って準備して、結果的にカンファレンス自体は1時間弱の長さでしたが、終わってみたらあっという間に感じたかもしれません。

ですが、患者さんを失った御家族の悲しみはこの先もずっと続きます。

その悲しみに寄り添えるように、我々病理医は、全力で患者様を診て、死因を診断します。

どんなに初期研修医の研修内容が時代と共に変わっても、例えコロナ禍を経ても、CPCはずっと続けられてきました。

診療ガイドラインの詳しい内容とかは忘れても、

その意味だけは忘れないで下さい。

※掲載写真は一部加工してあります。

当部の湯澤先生が「肺癌遺伝子検査呼吸器連携カンファレンス in 北海道」で講演を行いました。

当部の湯澤先生が「肺癌遺伝子検査呼吸器連携カンファレンス in 北海道」で講演を行いました。

タイトル通り、肺癌の遺伝子検査について多領域の見解を交えて議論する、公開カンファレンスです。

湯澤先生は病理医代表として参加し、病理学的な遺伝子検査について、「非小細胞肺癌の適切な遺伝子検査とは~マルチプレックス検査での検出率向上に向けて~」という演題で講演しました。

「癌家系」という言葉がありますが、「癌を引き起こし易い」や「癌を抑える力が低い」などの遺伝子の特徴は受け継がれることがあります。

遥か昔から得体の知れない病気として、代々受け継がれてきたものも中にはあるのかもしれません。

ですが、時代が進むに連れ、医学は進化していきました。

検査によって癌遺伝子の正体や弱点が分かっていき、それに照準を合わせた治療法も編み出されていきました。

病魔と人間の戦いは夢幻に続くのかもしれませんが、癌に立ち向かおうとするこの技術と意思は、これからも幾星霜とつないでいってほしいと思います。

当部の湯澤先生が共著したcase reportの「A case of masquerade syndrome caused by metastatic iris tumor diagnosed by a high CEA level in the aqueous humor and iris biopsy」がDiagnostic Pathology (IF 2.4) にアクセプトされました。

当部の湯澤先生が共著したcase reportの「A case of masquerade syndrome caused by metastatic iris tumor diagnosed by a high CEA level in the aqueous humor and iris biopsy」がDiagnostic Pathology (IF 2.4) にアクセプトされました。

「masquerade syndrome(マスカレード・シンドローム)」とは、日本語に訳すと「仮面症候群」といい、本来の病気の症状や身体・検査所見が他の病気と似ている場合に用いられる言葉で、「本当の病気が仮面の下に隠されてしまう」という意味が込められています。

湯澤先生が執筆したこの論文のように、特に眼の病気においては、「目のかすみや視力低下の原因がぶどう膜炎だと思われていたが、実は悪性腫瘍だった」というケースによく使われるようです。

比喩を用いた洒落たネーミングかもしれませんが、「マスカレード(仮面)」という言葉や文化が根付いていない日本人にはちょっとイメージが湧きにくい言葉だと私は思います。

恐らくこちらを読んで下さっている方々の殆どが、「ホテル」を思い浮かべたのではないでしょうか。

感性は国によって違いが出てしまいますが、病気自体の正体や治療法は国で変わらないので、どの国の医療従事者も同じビジョンで診療できたら、「ちょっと待ってよ」と焦る機会も少なくなると東の島国のいち病理医は思います。

当部の谷野先生が共著したcase reportの「Fulminant Streptococcus suis Infection Causing Myocardial Damage and Toxic Shock-Like Syndrome: A Case Report」がCureus (IF: 1.2) にアクセプトされました。

当部の谷野先生が共著したcase reportの「Fulminant Streptococcus suis Infection Causing Myocardial Damage and Toxic Shock-Like Syndrome: A Case Report」がCureus (IF: 1.2) にアクセプトされました。

Cureusとは、論文掲載料が無料で、論文の採用率も高いという新しい形で注目されている英語の電子ジャーナルです。

生成AIの発達により医学論文執筆の敷居が高くなくなっている時代なので、これからこのような窓口の広い発表媒体の需要が高くなっていく時代でもあります。

物事を成し遂げるには避けては通れない壁も高くなくなっている時代ですが、便利さに甘えずに医療従事者の志は常に高くなっていく時代にしたいですね。

【2024年9月9日更新】剖検担当部署の一覧カレンダーを更新致しました。

剖検担当部署の一覧カレンダーを更新致しました。

2024年9月6日にアップロードしたものに訂正があり、再度新しくアップロードさせていただきました。

剖検のご依頼の際はこちらのカレンダーをご確認の上、各部署にご連絡をお願い致します。

剖検のご依頼 – 旭川医科大学病院 病理部 【公式】 (asahikawa-patho.net)

当院婦人科病理カンファレンスにて、当部の湯澤先生、上小倉先生が症例提示を行いました。

当院婦人科病理カンファレンスにて、当部の湯澤先生、上小倉先生が症例提示を行いました。

今回取り上げられた症例の中に、女性器の内腔側に子どもの握りこぶしほどの大きさの腫瘍ができた患者さんがいらっしゃいました。

実際に病理組織で評価すると、癌は女性器自体に深く根付いていなかったため、見た目ほど悪性度は高くないという診断に至りました。

私もそうだったのですが、医学生の方々の中にも、大きくて見た目が派手なものより、臓器にへばりつくように平べったい癌の方が悪性度が高いという事実に、なかなかピンとこない方はいらっしゃるのではないでしょうか。

一概には言えないのですが、癌は臓器に染み込むように増殖していく方が、身体中に広がり易くて悪いものなのです。

実際に病理組織で比較して見た方がイメージが湧き易いと思います。

結局、人間の身体を理解するには大きい視点のマクロと小さいミクロの比較が大事なのですが、医学生の人数分顕微鏡を用意できないので、病理や組織学の勉強はおろそかになりがちです。

森ばかり見ていたら、森がどんどん枯れていっても理由は分かりません。

一本のミズナラの木を見て異変に気付くことができれば、森全体のナラ枯れは防げるのです。

第14回迅速免疫染色研究会が本学にて開催され、当部の谷野先生が代表世話人を務め、林先生、宮川臨床検査技師が演題を発表しました。

第14回迅速免疫染色研究会が本学にて開催され、当部の谷野先生が代表世話人を務め、林先生、宮川臨床検査技師が演題を発表しました。

コロナ禍を経て久しぶりの対面開催となった当学会は、文字通り、術中迅速病理診断における免疫染色についての研究成果を発表する場です。

免疫染色とは、細胞の免疫抗体反応を利用した特別な試薬で標本を染色することで、細胞についてより詳細な情報が得られる検査法です。

本来の免疫染色はできあがりまでに数時間から数日かかることもあるのですが、迅速免疫染色は、それを手術の真っ最中の迅速病理診断で用いるというとても画期的な概念なのです。

簡単に言うと、手術で切除したものが悪性腫瘍かどうかの判断がとても分かり易くなるのです。

林先生と宮川臨床検査技師は、当院の迅速免疫染色における実際の症例や経験を踏まえた研究・調査結果をそれぞれ発表し、会場では活発な議論が行われました。

 

迅速免疫染色の概念の誕生から既に10年以上が経過し、術中迅速病理診断自体は更にさかのぼります。

その長い歴史は全て、手術の中のたった一時のために蓄積されてきました。

ですが、その一時の判断が、患者さんの長い長い人生を左右することになり得るのです。

非常に「タイパ」は悪いのかもしれませんが、医療の歴史は悪いタイパの積み重ねで発展してきました。

今この瞬間も、たった一時のために、医師、検査技師、製薬会社、医療機器メーカーなど、たくさんの方々が何十年もかけてこの技術を磨いて下さっています。

タイパで人は、救えないからです。

※掲載写真は一部修正しております。