当院婦人科との合同カンファレンスにて、当部の谷野先生、湯澤先生、上小倉先生が症例提示を行いました。

当院婦人科との合同カンファレンスにて、当部の谷野先生、湯澤先生、上小倉先生が症例提示を行いました。

今回取り上げられた症例の中に、全部で105個も病理組織標本を作製して診断した症例がありました。

実は女性器である卵巣は、場合によっては手術で取り出した卵巣の、一番長い部分の長さの2倍の数の標本を作製して診断しなくてはならない、と正式に取り扱い規約で定められています。

最大の長さが10 cmなら、10 × 2で20個、という感じです。

意外かもしれませんが、お腹の中にある卵巣は、病気によっては30 cmを超える大きさになることも実際にあります。

今回の症例の卵巣の大きさは30 cm台だったものの、その病気の由来を確定するために、結果的に卵巣だけで83個、一緒に摘出した子宮なども併せて全部で105個の標本を作製して診断しました。

ちなみに人間の一般的な癌細胞の大きさはおおよそ20 μmほどと言われており、1 mmの2/100の大きさです。

そして、標本にできる組織の最大サイズはだいたい3 x 2.5 cm大で、μmに合わせると、30000 x 25000 μm、それが× 105個です。

かなり極端な例えですが、時には78750000000 μm²の中から20 μmの癌を見つけなくてはならないこともあるのです。

ですが我々病理医、引いては医療従事者は一般的に、そのように頑張って診療に取り組む自分達をやたらと顕示したりはしません。

我々の患者さんへの日々の想いが種となり、日本の医療の育成に繋がって、未来の人々の幸せが実ってくれれば、これ以上ない大収穫です。

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