当部の湯澤先生が共著したcase reportの「A case of masquerade syndrome caused by metastatic iris tumor diagnosed by a high CEA level in the aqueous humor and iris biopsy」がDiagnostic Pathology (IF 2.4) にアクセプトされました。
「masquerade syndrome(マスカレード・シンドローム)」とは、日本語に訳すと「仮面症候群」といい、本来の病気の症状や身体・検査所見が他の病気と似ている場合に用いられる言葉で、「本当の病気が仮面の下に隠されてしまう」という意味が込められています。
湯澤先生が執筆したこの論文のように、特に眼の病気においては、「目のかすみや視力低下の原因がぶどう膜炎だと思われていたが、実は悪性腫瘍だった」というケースによく使われるようです。
比喩を用いた洒落たネーミングかもしれませんが、「マスカレード(仮面)」という言葉や文化が根付いていない日本人にはちょっとイメージが湧きにくい言葉だと私は思います。
恐らくこちらを読んで下さっている方々の殆どが、「ホテル」を思い浮かべたのではないでしょうか。
感性は国によって違いが出てしまいますが、病気自体の正体や治療法は国で変わらないので、どの国の医療従事者も同じビジョンで診療できたら、「ちょっと待ってよ」と焦る機会も少なくなると東の島国のいち病理医は思います。