当院婦人科との合同カンファレンスにて、当部の谷野先生、青木先生、林先生が症例提示を行いました。
今回取り上げられた症例の中に、10年以上前に手術で取り除かれていたと思っていた乳癌が卵巣に転移していたというものがありました。
卵巣にできた癌は全てが一応「卵巣癌」という大きなくくりに入るのですが、今回のように乳癌が転移したものは、その中の「転移性卵巣癌」という小さなくくりに分類されます。
これがとても重要で、何故かというと、卵巣がオリジナルの発生母地である「原発性卵巣癌」と、他の臓器から発生した「転移性卵巣癌」は治療法が大きく異なる場合があるからです。
手術で取り除いてしまうのが治療の第一選択であるものや、化学療法が第一選択であるものなど、癌の治療法は多岐に渡りますが、基本的に転移してきた癌は、元々の発生した臓器の癌の治療法が適応されるのです。
この度のように10年以上も前に根治したと思っていた癌の再発・転移はかなり珍しく、診断だけでなく、今後の方針も含めて一筋縄ではいかない症例でした。
癌の患者さんは、治療前も、治療中も、治療後も、癌の恐怖に悩まされています。
そして、癌と戦うには、お金が、医療費がとってもかかります。
そんな不安に駆られる患者さんから財源を確保しようとする考えがあることが、
私はいち医療者として、
本当に悲しく、悔しく思います。